◆◆◆ 本会の主な活動(pdf) ◆◆◆

〇県同教から県人教へ
(1)熊本県同教とは
 「部落解放の教育を確立する同和教育の研究と実践につとめ、真に民主教育の実現を期すること」を目的として、「同和」教育に取り組もうとする人々が集まり、1971年11月13日、熊本県同和教育研究協議会(略称「熊本県同教」「県同教」)が結成されました。熊本県同教は、県下のすべての市町村を網羅する32の加盟同研によって構成され、人権読本「きずな」、機関誌「県同教NEWS」の発刊等に取り組み、「同和」教育の研究実践活動を進めてきました。
年間の主な事業としては、人権文化の創造をめざす熊本県「同和」教育研究大会(4,000人を越える県下最大規模の教育研究大会)をはじめとして課題別研究会や研修会の開催や人権フェスタの開催など就学前教育から学校教育、社会教育の分野へとその活動は多岐にわたっています。学校教育(保育)分野では、部落差別をはじめ、いじめなどのあらゆる差別を見抜き、それをなかまと共になくしていく子どもの育成を目標に活動を展開し、そのための教育内容の創造や教育諸条件整備等に取り組んできました。また、社会教育分野でも、すべての人々が、部落問題の正しい認識と部落解放への行動力を培う事をめざして、自らを取り巻く矛盾や不合理に気づき、その解決をめざす行動を通して差別を許さない人間連帯の実現をめざして取り組みを進めてきました。こうした取り組みは部落差別をはじめすべての差別を許さない学校・地域づくりをすすめ、「人権文化に満ちあふれた街くまもと」づくりをめざすものなのです。
県同教は、部落差別をはじめいっさいの差別をなくす教育活動の取り組みを、県内の関係機関・団体や、九州(九州地区県同教連絡協議会)・全国(全国同和教育研究協議会)のなかまと協力・協働を図りながらすすめてきました。さらに、PTAをはじめ様々な団体や組織、企業や宗教団体、マスコミなどと共に部落問題解決と人権の確立に向けた協力、協働のネットワークを拡げ、発展させてきました。


(2)「熊本県人権教育研究協議会」と改めることに関する提案趣旨
 「同和教育を通じて、熊本県に民主教育を発展させようではありませんか」という結成大会アピールのもと、「部落解放の教育を確立する同和教育の研究と実践につとめ、真の民主教育の実現を期することを目的」として、熊本県同和教育研究協議会は31年の歩みを刻んできました。
 各地に灯された解放子ども会の中で、親のくらしや労働と向き合うことを通して、「ふるさとが好き」と胸をはる子どもたちが育ってきました。その子どもたちを中心にして、自分の生活を見つめ、語り合う実践を通して、互いを尊敬し合う学級・学校・地域集団ができてきました。就職差別をなくす「言わない、書かない」取り組みを通して、就職差別とたたかう多くの子どもたちが育ち、公正採用選考の枠組が整えられてきました。結成当時、20%近くあった高校進学率較差はようやく肩を並べるほどまでになりました。
 「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する教育を確立しよう」という「同和」教育は、その長い歩みの中で、女性・子ども・高齢者・「障害」者・外国人・水俣病・ハンセン病・被爆者等をめぐる差別の諸問題と人権確立の課題を自らのうちに取り入れ、「同和」教育の豊かな内容として、「部落差別をはじめあらゆる差別を許さない」教育内容とその実践を育ててきました。それは当然のこととして、「人権教育のための国連10年」国内行動計画及び熊本県行動計画の内容と一致するものであり、先取りをするものでもありました。
 さらに、「同和」教育が大事にしてきた「くらしを見つめ語り合う反差別の集団づくりの取り組み、部落問題をはじめとする様々な人権問題に関する学習の取り組み、教科書無償や成績条項のない奨学金制度の確立の取り組み、部落解放を担う子育ての取り組み」はそれぞれ、「人権を通じての教育、人権についての教育、人権としての教育、人権のための教育」という、国際的な人権教育としての四つの側面と見事に重なるものでした。21世紀の教育の潮流を見渡すと、国際化と人権確立が急務です。第二次世界大戦の惨禍への痛切な反省から生まれた、「個人の尊厳と平等」を基調とする国際連合の世界人権宣言や、「すべて国民は、個人として尊重され、基本的人権の享有を妨げられない」とする日本国憲法を具体化する人権教育の確立が必要です。1996年に地域改善対策協議会は、「同和問題の早期解決に向けた今後の基本的な在り方」について、「これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきと考えられる。その中で、同和問題を人権問題の重要な柱として捉え、この問題に固有の経緯等を十分に認識しつつ、国際的な潮流とその取組みを踏まえて積極的に推進すべきである」と意見具申しています。
 2000年12月には、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行されました。その第一条(目的)には、「人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみ」とあるように、この法は第一義に部落問題の解決を進める法であります。2002年3月には、その「基本計画」が定められました。
 しかしながら、県内でも今日なお、差別発言・差別落書きや結婚をめぐる部落差別の現実があとを絶たず、部落出身生徒の高校・大学への進学率、高校中退の割合など教育や就労をめぐる状況は未だ厳しい現実があります。あわせて、2000年1月に実施された「人権・同和問題についての熊本県職員・教職員の意識調査」では、部落問題解決の責務を負うべき公務員の差別意識の克服にこそ大きな課題を残していることが明らかにされました。残念ながら、熊本でも、部落問題は未だ解決への途上にあるのです。加えて、「階層化」が進行していると言われる今日の社会の中にあって、就学や就労が困難な状況の子どもが増大しています。こうした状況を踏まえ、子どもたち一人ひとりに人権を保障するために、また、国際的な人権教育の潮流と国内の法整備の状況に注意を払うとき、今こそ、部落問題の解決を柱とした人権確立の教育の実現が必要です。私たちはこれまで、差別の現実から深く学び、一人ひとりの子どもたちに具体的に人権を保障する教育を創造することに努めてきました。この教育の道筋を、部落解放・人権確立にいたる知識と技能を分かち伝える態度を育む人権教育へとさらに高め、広めるためにも、熊本県同和教育研究協議会の発展的な姿として、会を、熊本県人権教育研究協議会と改めることを提案します。

(3)熊本県人権教育研究、協議会へ承認される!
 去る3月18日県総合福祉センターの大会議室で第3回評議員会及び臨時総会が開催されました。評議員会では補正予算、会長推薦が承認され、総会では2003年度の会長に引き続き上原仁朗さんが、承認されました。そして会則改廃に伴う名称変更に関する議題が論議されました。
 ムラの人たちの思いには同和教育がなくなるのは、寂しい、人権教育にかわると部落問題がぬけてしまうのではないかなど不安がだされました。一方、日本の人権教育を創ってきたのは同和教育である。心がけや呼びかけの人権教育ではなく同和教育の成果と手法を継承し、人権教育として広げていくべきである。名称より中身、私たちの実践が問われるとの意見の集約をみ、全会一致で名称変更が承認されました。
 4月1日より、新会則が施行されました。


〇熊本県人教の主な事業

①部落差別をはじめあらゆる差別をなくす熊本県人権教育研究大会(仮称)
「部落差別の現実に深く学び、人間を尊敬し、人と結び、豊かな関係に高めうる教育の営みへ」という大会テーマのもと、熊本県「同和」教育研究大会を各地域市町村ならびに教育委員会の後援ををいただき、これまで31回開催してきました。加盟同研を中心に県下各地から学校教職員だけでなく、就学前関係者、社会教育、行政、PTAなど広範な方々の参加をいただいています。大会では、全体会及び23の分科会・分散会に別れ、加盟同研より提出される約80~90本の実践レポートを中心に研究協議を行い、教育内容の創造や手法、部落問題をはじめ、さまざまな人権問題の解決に向けた取り組みなどを検証しています。参加者はこの大会での論議を通して、たしかな出会いと感動をもらい、実践上の手がかりを得て「同和」教育を広めてきました。
 これらの成果をふまえ、32回目の研究大会を人権教育研究大会として、10月18~19日に阿蘇町で開催します。


②課題別研究会
「自主活動」「進路保障研修会就労」「表現と文化創造」「共生の教育」「社会教育」「いのちとくらし」「進路・学力保障」「きずな実践講座」「きずな実践交流会」を開催し、研究を深め、社会教育・学校教育での実践を広めていきます。

③機関誌及び資料の発刊
「熊本県人教NEWS」を毎月発行し、「人権」教育に関する情報資料を掲載しています。また、「熊本の進路保障」、人権教育読本「きずな」、きずなCD版、30周年記念誌「事実と実践・創造」などを発行しています。


〇研究活動
就学前、自主活動、人権・部落問題学習、共生、いのちとくらし、進路保障の6つの部会に研究員を委嘱し、それぞれの課題について研究、実践を進めています。


〇社会教育における取り組み
社会教育部会を中心に、専門部会、宿泊研修会、課題別研究会、と研修を深め、また「人権の世紀を担うあなたに」というハンドブックを発行し、啓発活動に取り組んでいます。また、毎年2月に「人権の街くまもとフェスタ」を開催し、部落のないと言われる地域での啓発活動を進めています。


熊本県人権教育研究協議会会則

(名称)

第1条 この会は、熊本県人権教育研究協議会(略称 熊本県人教)という。
 
(事務局)
第2条 この会の事務局は、熊本県建築士会館5F(住所 〒862-0954 熊本市神水1丁目3-7)におく。
 
(目的)
第3条 この会は、人権と共生の世紀を実現するため、部落問題の解決を柱とした人権確立の教育の実現を期することを目的とする。
 
(事業)
第4条 この会は、第3条の目的を達成するために、次の事業を行う。
(1)研究調査に関すること。
(2)実践の交流に関すること。
(3)広報活動に関すること。
(4)講演会、研修会、研究会の開催に関すること。
(5)関係諸機関・団体との連絡、調整に関すること。
(6)その他、目的達成に必要な事項。
 
(構成)
第5条 この会は、第3条の目的に賛同し、人権教育を研究し推進する団体をもって構成する。
 
(機関)
第6条 この会に、次の機関をおく。
(1)総会
(2)評議員会
(3)事務局会
(4)役員選考委員会
(5)専門部会
 
(総会)
第7条 総会は、この会の最高議決機関であり、毎年1回、年度当初に開き、次のことを行う。
(1)会務の報告と審議
(2)事業計画の決定
(3)決算の承認、予算の決定
(4)役員の決定
(5)会則の決定
(6)その他、必要事項
総会は、加盟団体ごとに各3名、選出された代議員をもって構成する。
必要が生じたとき、評議員会の議を経て、臨時に総会を開くことができる。
 
(評議員会)
第8条 評議員会は、総会に次ぐ議決機関であり、毎年3回、定められた時期に開き、次のことを行う。
(1)総会提出議案の審議
(2)総会が付託した事項の決定
(3)補正予算の決定
(4)役員選考委員会の議の承認
(5)副会長の推薦
(6)監査の推薦
(7)その他、必要事項
評議員会は、加盟団体ごとに各1名、選出された評議員をもって構成する。
必要が生じたとき、臨時に評議員会を開くことができる。
 
(事務局会)
第9条 事務局会は、会長、副会長、事務局員をもって構成し、この会の決定事項の執行にあたる。
(役員選考委員会)
第10条 役員選考委員会は、この会の会長を選考し、推薦する。
役員選考委員は、評議員会で承認された加盟団体代表及び事務局会代表の若干名で構成する。
   
(専門部会)
第11条 この会に、学校教育部会、社会教育部会、研究部会の専門部会をおく。
専門部会は、その部会にかかわる研究、調査および実践の交流をはかる。
 
(役員)
第12条 この会に、次の役員をおく。
(1)会長  1名
(2)副会長 若干名
(3)監査  3名
役員の任期は1年とする。ただし、再任を妨げない。
欠員により補充された役員の任期は、前任者の残任期間とする。
 
(役員の任務)
第13条 役員の任務は、次のとおりとする。
(1)会長はこの会を代表し、会務を統括する。
(2)副会長は会長を補佐し、会長事故あるときは代行する。
(3)監査は会計を監査する。
 
(顧問)
第14条 この会に、顧問をおくことができる。
顧問は会長が委嘱し、総会の承認を得る。
 
(事務局)
第16条 事務局員は、会長が委嘱する。
事務局長1名をおき、事務局長は、事業の執行を統括する。
事務局次長若干名をおき、事務局次長は、事務局長を補佐する。
会計1名をおき、会計を担当する。
 
(会計)
第17条 この会の経費は、各加盟団体の負担金、および補助金、その他の収入をもってあてる。
負担金の額は、評議員会の議を経て、総会で決定する。
会計年度は、4月1日より翌年3月31日までとする。
 
(会議)
第18条 この会の機関会議は、すべて会長が招集する。
この会の会議は、構成員の過半数をもって成立する。
会議は、出席者の過半数以上の同意があれば、議事を決定することができる。
 
(加入)
第19条 この会に、新たに加入しようとする団体は、総会の承認を得なければならない。
 
(会則変更)
第20条 この会の、会則を変更するときは、総会の議決を得なければならない。
 
(付則)
第21条 この会の会則は、2003年4月1日より施行する。


会則沿革
(1)1971年11月13日施行。
(2)1971年度の役員の任期は、1972年の5月の総会までとする。
(3)1975年5月22日一部改正
(4)1994年5月24日一部改正(事務所移転に伴う改正)
(5)1997年3月14日一部改正(役員選考委員会設置に伴う改正)


 
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