◇ 改正男女雇用機会均等方のポイント ◇

 労働者が性別により差別されることなく、母性を尊重されつつ、能力を十分発揮できる 雇用環境を整備するために、男女雇用機会均等法が制定されました。しかしながら、 雇用労働者の約4割が女性ですが、賃金は男性の66%弱、コース別雇用管理制度を 導入している企業では、その5割以上は、「総合職はほとんどが男性」という偏りが あるのが実態です。
 また、日本には、賃金格差をはじめ男女間に差別が存在していると、ILO勧告や 国連女性差別撤廃委員会の報告等で指摘されています。報告等では、その一因として 間接差別や「コース別雇用管理制度」などがとりあげられ、日本政府に対して是正の 取り組みを勧告しています。
 このような状況の中、男女雇用機会均等の更なる推進のために、2007年4月1日に 改正男女雇用機会均等法が施行されます。改正のポイントを掲載します。
事 項 改 正 前 改 正 後
性別を理由とする差別の禁止

女性に対する差別的取扱いの禁止
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募集・採用・配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・解雇について禁止

男女双方に対する差別的取扱いの禁止
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<左記に追記>
配置(業務の配分や権限の付与を含むことを明確化)、降格、職種変更、パートへの変更などの 雇用形態の変更、退職勧奨、労働契約の更新

女性に対するポジティブ・アクションは、法違反とならない

間接差別の禁止

規定なし

○間接差別とは

@

外見上は性中立的な要件だが、

A

一方の性に相当程度の不利益を与え

B

その要件に業務遂行上の必要など合理性がないもの

省令で定める措置について、合理的な理由がない場合、間接差別として禁止。
 

募集又は採用に当たって、身長、体重又は体力を要件とすること

「総合職」の募集又は採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とする

昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること

妊娠・出産・産休取得等を理由とする不利益取扱いの禁止等

婚姻・妊娠・出産を退職理由とする定めを禁止

婚姻を理由とする解雇を禁止

妊娠・出産・産休取得を理由とする解雇を禁止

妊娠・出産・母性健康管理措置・母性保護措置・妊娠又は出産に起因する能率低下等を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止
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妊娠中・産後1年以内の解雇は事業主の反証がない限り無効

セクシャルハラスメントの禁止

女性労働者を対象とする事業主の雇用管理上の配慮義務
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規定なし


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規定なし

男女労働者を対象とする事業主の雇用管理上の措置義務
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調停などの紛争解決援助の対象にセクシャルハラスメントを追加
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是正指導に応じない場合の企業名公表制度の対象にセクシャルハラスメントを追加

母性健康管理

事業主の措置義務 (妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査を受けるための必要な時間の確保、当該指導又は診査に基づく指導事項を守ることができるようにするための措置の実施)

規定なし


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規定なし

苦情の自主的解決、調停などの紛争解決援助の対象に母性健康管理措置を追加
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是正指導にも応じない場合の企業名公表制度の対象に母性健康管理措置を追加

ポジティブ・アクションに対する国の援助

@

労働者の配置等の状況の分析

A

分析に基づく計画の作成

B

計画で定める措置の実施

C

実施体制の整備を行う事業主に対する相談その他の援助

<左記に追加>

D

取組状況の外部への開示

実効性の確保
  【過料の創設】

規定なし

事業主に対し、報告を求めたにもかかわらず、事業主が報告をしない、または虚偽の報告をした場合、20万円以下の過料に処せられます。

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