1.「同和」問題とは、何ですか
「同和」問題とは、日本固有の部落差別によってさまざまに引き起こされる社会問題です。それは、封建時代での政治や経済の仕組みの中で、人為的に作り上げられた身分制度に基づく差別に由来するものです。
現代社会においてもなお、被差別部落(以下部落)に生まれ育ったというだけで、基本的人権を侵害され、特に職業の選択の自由、居住および移転の自由、結婚の自由、教育の機会均等など憲法に銘記されている自由および権利が、完全に保障されていないという重大な社会問題です。
人間は自分の意志で生まれるところを選ぶことができないにもかかわらず、部落出身というだけでさまざまな差別を受け、基本的人権が侵害されている事実があります。これが同和問題であり、いわゆる部落差別のことです。


2.被差別部落は、どのようにしてつくられたのですか?
被差別部落の形成については、これまで幕府や藩という政治権力が、他の身分を分断して支配するために、政策的に身分をおいたとする、いわゆる「近世政治起源説」が言われていましたが、研究の進展とともに近年その見直しがされるようになり、教科書では次のような記述が行われています。
  • 幕府や藩は豊臣秀吉が決めた身分の決まりをもとにして身分ごとの支配を強めていきました。地域ごとに、村人(百姓)町人(職人・商人)をまとめてそれぞれ治め、また村人と町人とは別に、身分上厳しく差別されてきた人々も地域ごとにまとめて治めました。

  • 「被差別部落の人々の多くは、農業を営んで年貢を納めたりしていました。死んだ牛馬の処理や皮革業、細工物の仕事に従事したり、役人の下で、犯罪人の逮捕や処刑などの役目を果たす者、芸能の分野で活躍するものもいました。このように社会で役に立つ仕事をしながらも、これらの人々は百姓や町人とは別の身分とされ、住む場所や服装・交際など制限を受けていました。こうした身分制度は、原則として代々受け継がれ、互いの身分間で反目させ、厳しい武士支配への不満と抵抗をそらす役割をはたしていたと考えられます」(「人権の世紀を担うあなたに」より)
  • 被差別部落は、このような歴史背景と経緯の中で形成されたものですが、その事を根拠として今日の差別を合理化したり、容認することは絶対に許されません。
     なお今日、近代史の研究がすすみ新たな史実が掘り起こされるなど、被差別部落の起源や形成についても、多面的な歴史考察が進められています。



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